アジア諸国とのビジネスの中でも、台湾は品質・価格・対応のバランスに優れた調達先として、近年ますます注目されています。
ただし、価格や納期だけに注目して調達先を決めてしまうと、後々のコミュニケーションのズレや信頼関係の欠如からトラブルに発展するケースも少なくありません。
そこで今回は、台湾からの調達を成功に導くために欠かせない、現地の文化や商習慣の理解という視点から、実践的なコツをご紹介します。
1. 「人間関係重視」の文化を理解する
台湾のビジネスは、日本以上に“信頼”と“人付き合い”を重視します。
契約書よりも、「この人となら長く付き合える」と感じてもらえるかどうかが大事。初めから数字や条件ばかりを前面に出すより、まずはお互いをよく知ることが信頼の第一歩です。
✅ コツ:いきなり本題に入るのではなく、軽い雑談や名刺交換を丁寧に。初回訪問時には、日本のお土産を持参するのも好印象です。
2. スピードより「丁寧な調整」が評価される
台湾の製造業は納期意識が高い一方で、要求された仕様に100%正確に応えようとする姿勢が強いため、やり取りに時間がかかることもあります。
急がせすぎると、「細部まで確認せずに進めてしまう=品質トラブル」に繋がることも。
✅ コツ:要望は可能な限り具体的に、図面やサンプルで示すこと。また、納期や価格の交渉では、誠実な姿勢と長期的視点をアピールするのが吉。
3. 意思決定は「トップダウン型」が基本
台湾企業の多くは、オーナー経営者やトップの意見が絶対というケースが多く見られます。
現場の担当者と話して「うまくいきそうだ」と思っても、最終決定は上層部にあることが多いのです。
✅ コツ:重要な提案や価格交渉の際には、可能であれば経営者レベルとの関係構築を意識しましょう。オンラインMTGでも、役職者が同席するだけで話が早く進むこともあります。
4. 言語の壁は、情報の壁でもある
台湾では英語がある程度通じることもありますが、本音やニュアンスが共有されるのは中国語での会話が多く、意思疎通に課題が残ることがあります。
翻訳アプリやチャットツールでやり取りしても、専門用語や文化的背景のズレで齟齬が生じやすい点には注意が必要です。
✅ コツ:信頼できる現地パートナーや通訳を立てることで、技術的・文化的なギャップを埋め、よりスムーズに話が進みます。
5. 契約後も「フォローと関係維持」が肝心
調達は、契約がゴールではありません。台湾では長期的な信頼関係を築くことが“品質の安定化”にも直結します。
納品後のフィードバックや、次回の注文予定などを伝えることで、「この取引先は本気だ」と認識され、より協力的な関係になります。
✅ コツ:感謝の一言、ちょっとした報告、年賀のご挨拶など、小さなコミュニケーションが長期的な取引に繋がります。
まとめ:調達成功のカギは「モノの前に人」
台湾とのビジネスは、製品のスペックやコストも重要ですが、“人と人”の関係がベースになります。
現地文化と商習慣への理解を深め、信頼関係を築ければ、品質・コスト・スピードの三拍子が揃った調達先として、台湾は非常に心強いパートナーになるでしょう。