~OEM調達からODM開発へ、成功企業に共通するステップ~
日本の製造業にとって「台湾をどう活用するか」は、単なる調達戦略にとどまらず、中長期の事業成長を左右する経営課題になりつつあります。特に売上規模100億円前後の中堅企業にとっては、資金力と組織力に限りがある中で「どの段階から台湾と組むべきか」「OEMとODMをどう使い分けるか」が大きな分岐点となります。今回は、台湾をパートナーにするためのロードマップを整理します。
どの段階から相談すべきか
「海外調達は大手企業のもの」という考え方は過去のものです。実際には、売上50~100億円規模の企業こそ早い段階で台湾パートナーと接点を持つべきです。
理由は二つあります。
- 試作・小ロット対応に柔軟:台湾企業は中堅企業との協業実績も多く、数百~数千個レベルの部品調達にも対応可能。国内調達よりもスピーディかつ合理的なコストで試すことができます。
- 将来のODM開発への布石:OEMの段階から関係を築いておくことで、いざ製品開発フェーズに入ったときにスムーズにODMへ移行できます。
結論として、「新規製品の構想が見えた段階」あるいは「国内コストに限界を感じた段階」で台湾に相談するのが最適です。
OEM調達とODM開発のベストタイミング
台湾活用には「OEM調達」と「ODM開発」の二つの段階があります。
- OEM調達のベストタイミング
既存製品のコストダウンや調達リスク分散を目的に、比較的早期から導入すべき。国内調達と並行して「台湾調達ライン」を確保しておくことで、中国依存リスクの回避にもつながります。 - ODM開発のベストタイミング
ODMは、自社にない開発力を外部に取り込む戦略です。特に新製品の開発リソースが不足しているとき、あるいは技術はあるが製品化のスピードを高めたいときに有効です。
台湾のODMメーカーは、電子部品や精密加工品に強みを持ち、短期間で試作品を提示できる点が大きな魅力です。
つまり、OEMで信頼関係を築きつつ、ODMで新たな事業展開を狙う。これが成功する企業の王道パターンです。
成功企業の共通点
台湾を活用して成果を上げている企業には、いくつかの共通点があります。
- 社長や経営陣が早期に関与する
現場任せにせず、トップが方針を打ち出し「台湾と組む」という意思を示しています。 - 段階的にリスクを取る
いきなりフルスケールでODMを依頼するのではなく、まずは一部部品のOEMから始め、信頼関係を確認しながら進めています。 - 現地パートナーを尊重する姿勢
台湾企業は「対等なパートナーシップ」を重視します。発注者・受注者の関係にとどまらず、技術・情報を共有する姿勢が信頼を育みます。
まとめ
売上100億円規模の企業にとって、台湾との連携は「規模が大きいからできること」ではなく、中堅企業だからこそ成果が出やすい戦略です。OEM調達でリスク分散とコスト改善を図り、その延長線上でODM共同開発に進む。経営トップが早い段階から関与し、信頼関係を積み重ねることで、台湾は強力な成長パートナーになります。