社長が知っておくべき台湾ビジネスのリアル
海外調達やODM共同開発を進めるにあたり、「技術力」や「コスト」ばかりに目を向けがちですが、実際の成功・失敗を分けるのは 現地文化や商習慣の理解度 です。特に台湾は日本と地理的にも文化的にも近い存在ですが、いざビジネスの現場になると日本的な感覚とは大きく異なる点が多くあります。ここでは、社長が押さえておくべきポイントを整理します。
台湾の意思決定スピードは「速い」
台湾企業の大きな特徴のひとつは、意思決定のスピードが非常に速い ことです。経営者や決裁権者が自ら商談に参加するケースが多く、条件が合えばその場で決定が下ることも珍しくありません。
一方、日本企業は「社内稟議」に時間をかける傾向が強く、数週間〜数か月かかる場合もあります。このスピード感の差は、ビジネスの主導権をどちらが握るかを大きく左右します。社長自らが判断できる体制を整えておくことが、台湾ビジネス攻略の第一歩です。
日本的な取引感覚との違い
台湾ビジネスでは、以下のような「日本との違い」があります。
- 価格交渉が前提
台湾では、初回提示価格から交渉によって調整されるのが一般的です。日本のように「最初から正直価格で提示する」スタイルは通用しにくい場合があります。 - 契約よりも関係性重視
もちろん契約は重要ですが、台湾では「信頼関係」や「長期的な付き合い」が取引の基盤になります。契約条項を盾に強く出るより、現場の信頼を積み上げる方が円滑に進みます。 - 柔軟性の高さ
日本企業が「仕様変更=大問題」と考えるのに対し、台湾メーカーは比較的柔軟に対応してくれる傾向があります。ただし、それに甘えて無理な要求を重ねると関係が悪化するため、双方が納得できる落としどころを探る姿勢が重要です。
成功する経営者がもっている「現地人脈」とは
台湾ビジネスにおいて大きな武器となるのが 現地人脈 です。人脈といっても単なる「名刺交換の数」ではなく、実際に信頼できる人物を通じて得られる以下のようなつながりを指します。
- 信頼できるメーカーや部品供給元への紹介
- 現地市場のニーズや業界動向のインサイダー情報
- トラブル発生時に解決の糸口となるネットワーク
特に台湾では「紹介文化」が根強く、信頼できる第三者からの紹介があると交渉や取引がスムーズに進みます。逆に、全く人脈がない状態で直接アプローチしても、相手にされないケースが少なくありません。
成功している日本企業の経営者は、必ずと言っていいほど 現地のキーパーソン とつながりを持っています。そして、その人脈を築くには時間と労力が必要であり、最初から現地コンサルタントや仲介企業を通じてアクセスするのが現実的です。
まとめ
台湾でのビジネス成功は、単なる「コストメリット」ではなく、
- 意思決定スピードに合わせた体制
- 日本との商習慣の違いを理解した柔軟な対応
- 信頼できる現地人脈の活用
これらを押さえることが不可欠です。
日本的な感覚に固執するのではなく、現地の文化や習慣を理解したうえで調整する姿勢こそが、台湾調達・ODM共同開発を成功に導くカギとなります。